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商店街を歩いていたら、巨大オタマトーンに吸い込まれた——明和電機「オモチャができるまで展」へ

商店街を歩いていたら、巨大オタマトーンに吸い込まれた——明和電機「オモチャができるまで展」へPhoto: RAW JAPAN
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商店街を歩いていたら、巨大オタマトーンに吸い込まれた——明和電機「オモチャができるまで展」へ


炎天下の武蔵小山。用事のついでに息子たちとパルム商店街でランチを済ませ、アーケードをプラプラしていたときだった。

どこからか、聞き覚えのある音がする。プワオーープワー♪(僕にはこう聞こえている)。

音のする方へ振り向くと、そこには 人の背丈ほどある巨大オタマトーン 。 レトロな「明和電機」の看板と、青い作業服の男の巨大バナー。なんだこれは。しかも入場無料。気づけば男三人、オタマトーンに誘われるまま吸い込まれていた。

そこは、明和電機「オモチャができるまで展」だった。


そもそも明和電機とは何者か

会場内

初めて聞く人のために説明しておくと、明和電機は 中小電機メーカーの体(てい)で活動するアートユニット 。青い作業服がユニフォームで、代表は「社長」こと土佐信道さん。作るものはすべて「役に立たないけど面白い」——本人たち言うところの ナンセンスマシーン だ。

代表作は、あの音符型電子楽器 オタマトーン 。2009年の発売以来、日本だけでなく北米・ヨーロッパ・アジアで 累計200万本 売れている世界的ヒット作である。しっぽのスイッチを押すと音が出て、口をパクパクさせると音色が変わる。楽器としてゆるいのに、なぜか一度触ると離せない。

そして重要なのは、明和電機のアトリエがこの武蔵小山にあるということ。1998年から28年、ここを拠点に活動してきた、ど地元のユニットなのだ。展示パネルによれば、社長はアイデアスケッチをアトリエではなく武蔵小山商店街のドトールで描くのがお気に入りらしい。あのドトールから世界的オモチャが生まれていたとは。

どんな空気感のユニットなのかは、公式PVを見てもらうのが一番早い。


600円の「カードキー」が魔法の鍵だった

カードキー説明

会場に入ると、クセの強いオモチャたちがズラリと並び、あちこちでオタマトーンが叫んでいた。

この展示、ただ眺めるだけではない。 体験型 だ。展示物の横に何かを差し込む装置が付いていて、隣の物販レジで売っている カードキー(600円) を差し込むと、展示のオモチャで実際に遊べる仕組みになっている。

カードキー

もちろん即購入。お店の人曰く、 一度買えば会期中は何度でも使えるフリーパス仕様 とのこと。カード自体もバーコード付きの社員証みたいなデザインで、これだけで記念品になる。

カードキーを手にした息子たちは、さっそくオタマトーンをかき鳴らし始めた。

オタマトーン


わが子が一番ハマったのは「ゴムベース」だった

ゴムベース

数ある展示の中で、うちの息子が最も食いついたのが ゴムベース 。ホームセンターで売っている「荷造り用のゴム」を弦にしたベースで、1995年に明和電機会長・土佐正道さんが考案したもの。圧電素子で音を拾い、内蔵アンプで増幅してスピーカーから鳴らす。ゴム弦だから小型でも低音が出る、という理屈だ。
ゴムベース.png
それをうちの子は、レッチリのフリーが降臨したかの如くかき鳴らしていた。荷造り用ゴムでスラップの練習をする小学生を見られるのは、世界でもここだけだと思う。

スシビート.jpg
寿司の形のリズムマシンスシビートでは、兄弟二人並んでダフトパンク状態。ネタを叩くとビートが鳴る。なぜ寿司なのかは考えてはいけない。ナンセンスだからだ。
※写真は、体験展示のドデカスシビートを撮り忘れたので、ショーケースに入った小さいスシビートの写真です。すみません。。

バカロボ

ちなみに明和電機はロボットも作っているが、パネルの説明が潔い。「明和電機の作るロボットはどれも役に立ちません。すべてしくみがバカバカしいのでバカロボと呼ばれています」。この堂々たる宣言、見習いたい。


オモチャの「できるまで」を見る展示

スケッチライブラリー

展示のテーマはタイトル通り「オモチャができるまで」。社長の膨大なアイデアスケッチ(画材は決まってA4のLIFEタイプ用紙・ぺんてるのプラマン・コピックだそうだ)から、試作品、そして量産まで、一つのオモチャが生まれる工程を追いかけられる。

明和電機のオモチャのテーマは「キュート&メカニック」——見た目のかわいらしさと、ユニークなしくみ。このふたつが無理なく合体するまで、試作品(プロトタイプ)を何個も何個も作る。パネルには「最初からうまくいくことはほとんどなく、失敗を重ねながら納得いくまで作ります」と正直に書いてあった。世界で200万本売れるオモチャも、地道な失敗の積み重ねの先にあるのだ。

プロトタイプ展示

壁面には、オタマトーンやスシビート、ゴムベースなど各オモチャの試作品(プロトタイプ)が標本のようにズラリと並んでいる。完成品しか知らないオモチャの「途中の姿」をこれだけ見られるのは、この展示ならではだ。

ゴムベースとベロミンのプロトタイプ
展示スシビート2.jpg
面白いのは量産の話。オタマトーンは提携企業が中国の工場で大量生産している一方、2020年のコロナ禍以降は明和電機自身も3Dプリンターやレーザーカッターで量産をやるようになり、スシビートやゴムベースは武蔵小山と不動前の組み立て工場で作られているらしい。つまりスシビートは、ど地元産である。


物販コーナーで、夏休みの宿題が決まった

物販

さんざん遊んだあとは、隣に併設された物販コーナーへ。オタマトーンをはじめ明和電機のオモチャやグッズがずらりと並ぶ。

ちなみにオタマトーンには新作「オタマトーンQ」も登場している。公式動画はこちら。

工作キット

ここで息子が電動ノックマンの工作キットを手に取り、無言で僕に差し出してきた。夏休みの自由工作をこれにするらしい。この日は「次に来たときに買う」と約束して棚に戻したが、夏休み作品展で、電動ノックマンが自分の頭をポクポク小突く音が小学校に響き渡るところを想像すると、笑える。同級生の注目の的になるのは間違いない。

ノックマン工作キットの組み立て例

スシビート購入

スシビートは「ネタ」「オト」「シャリ」「ベース」の4種を好きに組み合わせて買える方式。一貫2000円。高級寿司屋と思えば安い気がしてきた。

——と、会場を後にしたのだが。そのままパルム商店街をふらつくこと約1時間。気づけば男三人、その日のうちに2回目の入場を果たしていた。フリーパス、効果は初日から絶大である。親子ともども、まんまと明和電機の術中にはまっているのだった。 楽しい休日をありがとう。「明和電機」。


開催情報

  • 展示名:明和電機「オモチャができるまで展」
  • 会期:2026年7月19日(日)〜8月30日(日)/月曜休館(祝日は開館)
  • 時間:11:00〜18:00
  • 会場:武蔵小山商店街パルム「パルムイベントスペース」(東京都品川区荏原3-3-18)
  • アクセス:東急目黒線・武蔵小山駅から徒歩1分
  • 入場料:無料(展示品で遊べるカードキーは600円・会期中有効)

RAW JAPAN's Takeaway

「商店街の中にミュージアムがある」という、全国的にも珍しい光景。買い物ついでにふらっと入れて、無料で眺められて、600円で遊び倒せて、うっかり夏休みの宿題まで解決する。ナンセンスと言いつつ、こんなに役に立つ展示があるだろうか。パルム商店街にお越しの際は、ぜひ立ち寄って、オタマトーンに癒されてください。

参考:明和電機 公式サイトしながわ観光協会

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クセつよな日本を偏愛する、2児のパパ。 日常のすき間から見える“じわるニッポン”を追いかけています。

8/8/2026 — RAW JAPAN
明和電機オタマトーン東京