RAW JAPAN
2025 / 06 / 08Travel

日本のダークツーリズムTOP5──忘れてはならない“もう一つの旅

日本のダークツーリズムTOP5──忘れてはならない“もう一つの旅
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歴史は、光のあたる場所ばかりでは語れない。むしろ、忘れ去られた建物や風化した風景のなかにこそ、日本の真実が眠っている。
そこは誰かが生き、誰かが去り、今はただ静かに時間だけが流れている場所——。

「楽しい」「映える」とはまったく違う、けれど確実に心に残る旅。
それがダークツーリズムの魅力です。

今回、RAW JAPANがご紹介するのは、日本各地に残る“影の記憶”をたどるスポット5選。
あの日の爪痕、廃墟の静けさ、土地に刻まれた声なき声に耳を澄ませる、“もうひとつの日本の歩き方”をご案内します。

表舞台の観光地とは違う、“影”を辿る旅がある。
そこには、かつて人々が暮らし、働き、時に絶望の中で生きた痕跡が静かに眠っている。

今回はRAW JAPANが厳選する 「日本のダークツーリズムTOP5」 をご紹介。
廃墟、沈没、そして記憶。旅の目的地が「観光地」ではなく「問い」となる、そんな旅へ。


1. 軍艦島(長崎県)

かつて日本の近代化を支えた炭鉱都市・端島、通称「軍艦島」。その名の通り、軍艦のようなシルエットが海に浮かぶ。

最盛期には5000人以上がこの小さな島で暮らし、学校や映画館、病院まであった。
だが炭鉱の閉鎖とともに人は去り、コンクリートの建物だけが残された。

現在はガイド付きツアーでのみ上陸可能。
建物内部への立ち入りは禁止されているが、崩壊が進む無人島の空気感は、言葉にできない重みを持つ。

⚠️ 注意:天候によって上陸不可となる日が多いため、複数日程の確保が推奨。
公式情報:https://www.gunkanjima-concierge.com/


2. 雄別炭鉱跡地(北海道)

北海道釧路市の山奥に眠る「雄別炭鉱跡地」は、かつて1万人を超える人が暮らした“消えた炭鉱都市”。

現在は完全な廃墟と化しており、学校、病院、神社の跡がジャングルのような草木に包まれている。

その“人の気配が突然消えた”ような光景に、廃墟マニアや歴史探訪者から根強い人気がある。

⚠️ 注意:立入禁止区域も多く、自己責任での探索は危険。現地ガイドの同行が必要です。
参考:https://note.com/akan_kurashi/n/n420d6abd9a57


3. 小河内ダム 水没集落(東京都)

東京の奥多摩には、ダム建設のために沈んだ村がある。

「小河内ダム」は首都圏の水源として知られるが、その完成の裏には、500世帯以上の人々が“ふるさと”を失った事実がある。

ダム湖の底に沈む村の記憶は、周辺の資料館や記念碑、語り部の証言により今も語り継がれている。

訪れることで、ただの景色ではなく「犠牲の上にある暮らし」に思いを馳せる体験ができる。

⚠️ 注意:湖畔の立ち入りは可能だが、水没集落そのものは当然見えない。事前学習が旅の価値を高める。
参考:https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/antei/ogochi


4. 万田坑(三池炭鉱・熊本県)

世界遺産にも登録されている「三池炭鉱 万田坑」。

一見すると整備された産業遺産だが、その裏には過酷な労働と囚人労働、炭塵爆発の歴史が刻まれている。

黒いレンガの塔と巨大な巻き上げ機が並ぶ姿は圧巻。
その美しさの中に、かつての重労働と事故の記憶が封じ込められている。

⚠️ 注意:見学はガイドツアー推奨。単なる建築美としてではなく、歴史の背景を学びながら訪れるのが望ましい。
公式サイト:https://kumamoto.guide/spots/detail/12133


5. 松尾鉱山跡地(岩手県)

岩手県八幡平市、標高約1000メートルの山中にひっそりと残る「松尾鉱山跡地」。

かつて東洋一と謳われた硫黄鉱山の社宅群は、今や“日本のラピュタ”とも呼ばれる廃墟の名所となっている。

山肌に沿って立ち並ぶ巨大な集合住宅の残骸。人の営みがあったことを思わせる浴場跡や階段、瓦礫に埋もれた廊下。
自然に侵食されながらも、どこか静謐で詩的な景観が広がっている。

ここは単なる廃墟ではない。「人間が自然と距離を誤った時、何が起きるか」を教えてくれる無言の遺産だ。

⚠️ 注意:現在立ち入りは禁止されている区域もあり、無断侵入は厳禁。遠景からの観察と、ドローンなどによる撮影は許可を得たうえで行う必要があります。
参考:http://www.bunka.pref.iwate.jp/en/archive/cs27


RAW JAPAN Comment

この5つの場所に共通するのは、「忘れないこと」が旅の目的だということ。

ただ写真を撮って終わりではない。むしろ、そこで立ち止まり、静かに見つめること自体が旅の意味になる。

それは観光ではなく、“記憶を歩く”という新しい旅のかたち。

忘れられそうなものに光を当て、見えなくなりそうな声に耳を傾ける。
それは歴史に“向き合う”行為であり、同時に、自分自身と静かに対話する時間でもある。

次の旅先を探しているあなたへ——地図には載らない「深い場所」へ。


⚠️ ※この記事で紹介している場所の多くは、現在も風化・崩壊が進む施設や、災害・事故の記憶を抱える地域です。訪問に際しては、安全対策、現地ガイドの指示、マナー遵守を徹底してください。
また、立入禁止区域や撮影制限、慰霊の対象となるエリアもあります。軽率な行動が現地の方々の心情を傷つけることのないよう、配慮と敬意をもって旅をお楽しみください。
“見に行く”のではなく、“向き合う”ための旅であることを、どうか忘れないでください。

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クセつよな日本を偏愛する、2児のパパ。 日常のすき間から見える“じわるニッポン”を追いかけています。

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