美術館は建物アートだ──建築で魅せる日本の美術館7選

外観だけでチケット代の価値アリ。
空間そのものが心を震わせる、日本の建築美術館を厳選。
美術館といえば展示作品が主役──そう思いがちですが、日本には“建物そのもの”が圧倒的に人を惹きつける美術館があります。外観をひと目見ただけで息をのむ、空間に一歩足を踏み入れれば建築がアートとして迫ってくる。そんな場所では「展示を見に行く」というより「建築に出会う」体験こそが目的になるのです。今回は、外観や空間デザインが心を震わせる、日本各地の個性派美術館を7つご紹介します。
1. ところざわサクラタウン(埼玉県・所沢市)
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KADOKAWAが所沢の地に本気でつくり上げたのが、カルチャーの魅力をぎゅっと凝縮した複合施設「ところざわサクラタウン」。アニメやマンガ、ライトノベルから文学、建築、グルメ、イベントまで──オタク心も知的好奇心も一度に満たしてくれる、まさに文化の交差点です。
なかでも圧倒的な存在感を放つのが、世界的建築家・隈研吾が手がけた角川武蔵野ミュージアム。まるで巨大な石塊のような外観は異世界の神殿を思わせ、見る角度によって表情を変える迫力に思わずシャッターを切りたくなります。遠目に眺めても、近づいても、そのスケール感と造形美に心を奪われるはずです。
施設名 | ところざわサクラタウン |
開館時間 | 10:00~18:00(最終入館は17:30まで) |
休館日 | 毎週火曜日(火曜日が祝日の場合は開館) ※開館日や営業時間は変更となる場合があります。 詳細、最新情報は 営業カレンダー をご確認ください |
入館料 | 一般 3,300円/中高生 2,800円/小学生 2,000円 ※ご来館の際には、必ず こちらをご確認の上、ご予約をお願いいたします。 |
館内撮影 | 撮影可能です。 ※動画撮影、フラッシュ撮影、自撮り棒の使用はご遠慮ください。 |
住所 | 〒359-0023 埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3 Google Map |
参考サイト | ところざわサクラタウン 公式サイト |
2. 下瀬美術館(広島県・大竹市)
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2023年3月、広島県大竹市にまるでSF映画から飛び出したように誕生した下瀬美術館。ここでは「展示を鑑賞する」というより、建物そのものがアートとして体験できるのが最大の魅力です。設計は、段ボール建築でも知られるプリツカー賞受賞建築家・坂 茂。浅い水盤に浮かぶカラフルなガラスの展示室は、まるで小島が点在するような光景をつくり出し、自由に配置を変えられる構造が“アートと建築の境界”を軽やかに越えていきます。背後の鏡張りの壁は瀬戸内の景色を反射し、空間を無限に広げる。開館からわずか1年後の2024年には、その美しさが国際的に評価され「世界で最も美しい美術館」に選出されました。
施設名 | 下瀬美術館 |
開館時間 | 9:30-17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(祝休日の場合は開館)、年末年始、展示替え期間 |
観覧料 | 一般 2,000円/高大生 1,000円/大竹市民 1,500円/中学生以下 無料 ※団体割引あり |
館内撮影 | 撮影可能です。 ※動画撮影、フラッシュ撮影、自撮り棒の使用はご遠慮ください。 ※展覧会によっては撮影いただけない場合がございます |
住所 | 〒739-0622 広島県大竹市晴海2丁目10-50 Google Map |
参考サイト | 下瀬美術館 公式サイト |
3. 水戸芸術館(茨城県・水戸市)
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水戸駅から徒歩圏内にそびえる独特なタワーは、「水戸芸術館」の象徴的存在です。設計を手がけたのは世界的建築家・磯崎新(いそざき あらた)。らせん状にねじれたガラスの塔は、建築好きなら誰もが足を止めて見上げたくなる迫力があります。
館内では現代美術・演劇・音楽の3ジャンルが常に交錯し、国内外のアーティストによる実験的な展示やパフォーマンスが次々と展開。水戸のカルチャーの中枢として、常に新しい刺激を発信し続けるアートスポットです。
施設名 | 水戸芸術館 塔 |
開館時間 | 平日 9:30~18:00 土・日・祝日 9:30~19:00 |
休館日 | 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)・年末年始 |
入館料 | 大人 200円 / 小中学生 100円 |
館内撮影 | 撮影の可否は展覧会によって異なります。事前にお電話にてお問合せいただくか、会場入口案内表示をご確認ください。 |
住所 | 〒310-0063 茨城県水戸市五軒町 1-6-8Google Map |
参考サイト | 水戸芸術館 公式サイト |
4.豊島美術館(香川県・豊島)
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瀬戸内国際芸術祭でも常に高い人気を誇る“アートの聖地”豊島。その中でも圧倒的な存在感を放つのが「豊島美術館」です。アーティスト・内藤礼と建築家・西沢立衛によるコラボレーションから生まれた建築は、まるで地面に滴り落ちた一滴の水がそのまま形になったかのよう。
無音の空間に自然光が差し込み、床から湧き出す水滴が静かに流れていく──その光景に身を置くと、時間や思考がすっと溶けていくような感覚に包まれます。建物というより「現象の中に身を浸す」体験であり、撮影を禁じるルールがむしろ当然と思えるほどの神聖さがあります。五感を全開にして“空間そのものがアート”であることを実感できる場所です。
施設名 | 豊島美術館 |
開館時間 | ・ 3月1日 〜 9月30日 10:00 〜 17:00(最終入館16:30) ・10月1日 〜 2月末日 10:00 〜 16:00(最終入館15:30) |
休館日 | 火曜日(3月1日〜11月30日) 火曜日から木曜日(12月1日〜2月末日) ※ただし祝日・休日の場合は開館、翌日休館詳細は開館カレンダーをご確認ください。 ※ただし月曜日が祝日の場合は、火曜日開館、翌水曜日休館 |
入館料 | 企画展は展覧会ごとに定めます。 公募展は美術団体によって異なります。 |
館内撮影 | 撮影不可 ※美術館外観、カフェ&ショップ内のみ写真撮影は個人で楽しむ範囲内でしたら可能です。 |
住所 | 〒761-4662 香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607 Google Map |
参考サイト | ベネッセアートサイト直島 公式サイト |
5. 国立新美術館(東京都・六本木)
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常設展を持たず、企画展のみを開催するというユニークなスタイルを貫く東京・六本木の国立新美術館。訪れるたびに異なる展覧会と出会えるこの場所では、アート体験そのものが常に“新作”として更新されていきます。
そして圧巻なのが、黒川紀章が設計した流線型の建築。波のようにうねる全面ガラスの外観は昼と夜で表情を変え、ただ眺めているだけで心を奪われます。館内に広がる大きな吹き抜け空間は開放感にあふれ、展示だけでなく建築そのものを味わいに訪れる価値のある美術館です。
施設名 | 国立新美術館 |
開館時間 | 10:00-18:00(最終入館17:30) ※会期中の毎週金・土曜日は20:00まで。 ※展覧会によって、観覧時間が異なる場合がありますので、企画展のページをご覧ください。 |
休館日 | 毎週火曜日(ただし火曜日が祝日または振替休日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始 ※臨時休館についてはカレンダーページをご覧ください。 |
入館料 | 企画展は展覧会ごとに定めます。 公募展は美術団体によって異なります。 |
館内撮影 | 私的使用目的に限り、撮影は可能 ※営利目的の撮影は禁止 |
住所 | 〒106-8558 東京都港区六本木7丁目22−2 Google Map |
参考サイト | 国立新美術館 公式サイト |
6. MIHO MUSEUM(滋賀県・甲賀市)
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まるで“桃源郷への入口”を思わせるアプローチ自体がすでにアート。滋賀県の山深くにひっそりと佇むMIHO MUSEUMは、建物にたどり着くまでの道のりさえも演出の一部です。長いトンネルを抜け、ガラス張りの橋を渡った先に現れるのは、ルーヴル美術館のガラスピラミッドを手がけた巨匠 I.M.ペイ による静謐な建築。
建物の約80%が地中に埋め込まれ、周囲の自然と完全に調和する設計は、“風景に美術館が溶け込む”というより、“風景そのものが美術館になっている”感覚を呼び起こします。光と素材、空間が極限まで研ぎ澄まされた内部を歩けば、心が自然に静まっていく──まさにアート鑑賞を超えた「建築と自然の瞑想体験」です。
施設名 | MIHO MUSEUM |
開館時間 | 10:00~17:00(最終入館16:00) |
休館日 | 春季・夏季・秋季、各開館期間中の月曜日(祝日の場合は各翌平日) ※展示替え等のため休館期間がございますので開館カレンダーをご確認ください。 |
観覧料 | 一般:1,300円 / 高大生:1,000円 / 中学生以下:無料 ※団体割あり |
館内撮影 | 展示室内は原則撮影禁止 ※屋外は一部可、詳しくはこちら をご覧ください。 |
住所 | 〒529-1814 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300 Google Map |
参考サイト | MIHO MUSEUM 公式サイト |
7. ホキ美術館(千葉県・千葉市)
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千葉市の昭和の森のそばに、まるで宙に浮かぶように突き出した細長い建物──それが日本初の写実絵画専門美術館、ホキ美術館です。設計を手がけたのは、日建設計と富田玲子建築設計事務所。コンクリートとガラスで構成されたミニマルな外観は、見る角度によって印象が大きく変わり、建築そのものが現代アートのように感じられます。
内部には、空中に浮かぶような細長い展示室が連なり、その空間に並ぶのは驚異的な精緻さを誇る写実絵画の数々。「これが本当に絵なのか」と疑うほどの作品と向き合う時間は、静謐でありながら圧倒的な没入体験をもたらします。建築とアートの調和がこれほどまでに完成された場所は、他に類を見ません。
施設名 | ホキ美術館 |
開館時間 | 10:00~17:30(最終入館17:00) |
休館日 | 毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始、展示替え期間あり |
観覧料 | 一般 2,100円 / 高校生・大学生・65歳以上 1,600円 / 中学生 1,000円 / 小学生以下 800円 ※団体割あり |
館内撮影 | 撮影禁止 |
住所 | 〒267-0067 千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15Google Map |
参考サイト | ホキ美術館 公式サイト |
RAW JAPAN’s Takeaway
いま、美術館は“展示を見る場所”から、“建築そのものを体験する場所”へと広がっています。ここで紹介した施設はどれも、作品だけでなく建物そのものがアートであり、訪れる人の感覚を揺さぶる舞台装置のような存在です。外観に圧倒されたり、光や水や自然と対話したり、建築とアートが一体となった空間に身を置くことで、旅そのものの記憶が一段と豊かになる。
日本旅行を計画するとき、神社仏閣や絶景スポットと同じくらい「建築が主役の美術館」をひとつ組み込んでみてください。そこで得られるのは、写真や言葉では伝えきれない“空間を味わう体験”。一度その感覚に浸ってしまえば、美術館という存在の見方がガラッと変わるはずです。
出典表記
本記事は各施設の公式情報および関連プレスリリースをもとに、RAW JAPAN編集部が要約・再構成したものです。
画像提供:PR TIMES / 各美術館公式サイト
平成生まれ、昭和育ち(の気持ち)。 レコードと純喫茶と商店街が好きすぎて、大学ではなぜか“団地研究”してました。 肩肘張らずに、クセつよなニッポンの“生活ノイズ”を拾い集めてます。